背骨のカーブ
人間が立っていられるのは、背骨がS字状にカーブしていることが関係しています。

体への負担を軽減
人間の背骨を横から見ると、ゆるやかなS字状にカーブしています。このカーブによって走ったり飛んだりする衝撃や体重の負担が和らぎ、二本足でもバランスよく歩くことができるのです。
S字状カーブはどうやって作られる?
成長するにつれて徐々に背骨はS字状のカーブに近づいていきます。

1. 胎児期
すこやかなお母さんの子宮内では、赤ちゃんの背骨はC型。手足を曲げて、両手がなめられる姿勢をしています。これを “Cカーブ” といいます。

2. 新生児期
生まれてすぐの赤ちゃんの筋肉は重力に抵抗できないほど弱い状態。硬いふとんであお向けに寝ていると、背骨は無理に引き伸ばされてまっすぐになり、頭も左右どちらかを向いてしまいます。

3. 首がすわるころ
首の骨に前カーブができて、首がすわってきます。背骨がまっすぐだと前カーブは弱くなってしまいます。“Cカーブ” を保って育った赤ちゃんは、しっかりとした前カーブができます。

4. 歩きはじめ~小学校卒業
歩き始めるころから徐々に腰の骨にも前カーブができていきます。そして小学校を卒業する頃には背骨全体の “S字状カーブ” が形成されていきます。すこやかな背骨の成長には、早期からの “Cカーブ” を保つことが大切なのです。
現代人の背骨
現代人はこのS字状カーブを失っている人が多いといわれています。


S字状カーブが失われる要因は?
要因のひとつは「新生児期の寝かせ方」。
生まれたばかりの赤ちゃんの筋肉はとても柔らかく、重力に抵抗できるだけの筋力が備わっていないので、硬いマットなどに平らな姿勢で寝かせると重力に引っ張られて背骨が引き伸ばされます。
すると、次にできる首・腰のカーブも浅くなるので、きれいなS字状のカーブが形成されにくくなります。他にも生活様式の変化による筋力の低下や普段の座り方なども関係しています。
S字状のカーブが浅くなると?
衝撃や体重の負担がうまく吸収できないので、筋肉の緊張や背骨・骨盤のゆがみにつながりやすくなります。また、イラストの立ち姿のように全身をうねらせて、なんとかバランスを取りながら立つようになるので、姿勢も悪くなります。