昔の赤ちゃんの育ち方

昔の日本の農村では「イジコ」という桶やカゴに赤ちゃんを入れ、親が農作業をするとき近くに寝かせていたそうです。

昔の「イジコ」は、赤ちゃんの頭に負担がかからない工夫がされていました。

「イジコ」とは…

昔、親が農作業をするときに子どもを入れて寝かせていた桶やカゴ。呼び名は地域によって様々で、エジコ・エヅメ・イジコ・イズミ・イブミ・ツブラ・ツグラ・コシキ・エジメ・イヅミキともよばれています。

イジコの中

  1. ① はだかの赤ちゃん
  2. ② ワラ籠や木製のおけ
  3. ③ きれいな木綿の大きな布
  4. ④ ぼろ布
  5. ⑤ うすい布団
  6. ⑥ 灰
  7. ⑦ 米の皮・もみ穀
  8. ⑧ ワラくず

※こちらのイラストや資料は、トコちゃんベルト考案者 渡部信子先生の「魔女のひとりごと」 より引用しています。

イジコの利点

  • イジコの中だと、新生児の姿勢を良好な胎児の姿勢と同様に保てる。つまり、脊柱は後彎、四肢は屈曲。
  • コックリコックリしながら寝るので、頸部~背部の伸展筋群に働きかけ、向きぐせも予防する。
  • 保温性と通気性に優れているため、四季を通じて使用できる。
  • 昔は裸のまま入れ灰袋を股間に当てがっていたので、排便があれば灰袋を替えていた。灰汁はオムツかぶれを防ぐ。

イジコの欠点

  • 中のものを取り替えるだけなので、清潔とはいえない。
    → 庶民でも赤ちゃんの布団や服、おしめなどを買える経済状況となるにつれ、清潔な育児が好まれるようになった
  • 昔のイジコは竹かごや板などで作れる人が多かったが、現代では同じものを作ると高価になる。

脊柱の解剖学的発達

脊柱のS字状彎曲が形成されるのは10歳頃であると言われており、新生児を大人と同様に硬い布団に仰臥位で寝かせると、突出した後頭結節のために顔を左右どちらかに向けるため、向きぐせが生じやすくなると考えられます。

特に睡眠時などには、脊柱の彎曲形成を阻害しないことが何より大切なのです。

腰椎前彎はこのようにできる 腰椎前彎はこのようにできる ①新生児:強い後彎 ②5ヶ月:まだ後彎 ③13ヶ月:初めてまっすぐに ④3歳:ややそり始める ⑤8歳:前彎明確 ⑥10歳:前彎確立 ※この図は、「カパンディ関節の生理学Ⅲ 体幹・頭部」原著 第6版(A.I.Kapandji 著・塩田悦仁 訳・医師薬出版)を参考にリライトしたものです。
※第51回 日本母性衛生学会総会・学術集会 ランチョンセミナー「骨盤ケアで改善!PART5」13ページに掲載。